和箪笥の特徴とタンスの良し悪し

引き出しを見ればタンスの質がわかる

一見すると、どのタンスも似たように見えるかもしれません。しかし、実際の品質は「引き出しの作り」を見れば明らかになります。

日本の代表的な桐たんすをはじめ、国産の良質なタンスでは、引き出し内部の箱に桐材が使われています。桐は、軽くて柔らかく、加工しやすい木材として古くから家具や調度品に用いられてきました。また、湿度に応じて伸び縮みする特性を持ち、日本の高湿な気候下でも衣類を湿気から守ってくれる「調湿効果」「防カビ効果」があります。

桐材の違いとその品質

桐は元々中国由来の木材ですが、高級な桐たんすには、日本産のアクが少なく、厚みのある良質な桐板が使われます。さらに、「あり組」「組手」といった伝統的な仕口(しぐち)によってしっかりと接合されており、衣類を収納しても歪むことなく、出し入れもスムーズです。

一方、組み立て式の安価な家具には、見た目が桐に似た「ファルカタ材」が使われることがあります。軽くて柔らかいものの、調湿効果はなく、表面の滑らかさや耐久性も劣ります。

丈夫さを支える「組手」の技術

組手

引き出しの耐久性を高めるための技術に「組手(くみて)」と呼ばれる接合方法があります。

例えば、木材同士を凹凸に加工して組み合わせる「ほぞ組」や、台形状のほぞを使う「蟻組(ありぐみ)」などは、非常に頑丈で高級家具によく用いられます。これらは手間と技術を要するため、安価な家具では一般的に使われません。

代わりに用いられるのが「ダボ継ぎ」です。こちらは接着剤を主に使って固定するため、経年劣化により接着が弱くなると前板が外れるリスクがあります。

和箪笥と洋家具の構造の違い

日本の伝統的な和箪笥と、洋風のタンスでは、引き出しの構造にも大きな違いがあります。

和箪笥では、引き出しの前板が本体の内側にぴったり収まり、側板と面一(つらいち)になるのが特徴です。一方、洋家具では前板が本体より前に出る「かぶせ構造」になっていることが多いです。

和箪笥の構造は見た目がすっきり美しいだけでなく、密閉性が高く、湿気の侵入を防ぐという実用面でも優れています。この精度を保つためには、カンナを使って髪の毛よりも薄く削る微調整が必要で、熟練の職人技が欠かせません。

ぴったり作られた和箪笥の引き出しを閉めると、別の引き出しが「すぅ〜っ」と自然に開くことがあります。これは密閉性の高さ、すなわち気密性の証であり、和家具ならではの技術力が表れています。

洋家具の特徴と補助金具

かぶせ構造の洋タンス
スライドレールの付いた洋タンス

洋タンスは、引き出しにあそび(隙間)が多いため、滑りが悪くなることがあります。そのため、多くの洋家具にはスライドレールなどの金具が使われていますが、安価な金具は壊れやすく、交換パーツが手に入らないこともあります。

また、引き出し材にファルカタが使われることも多く、耐久性や調湿性能に欠けるケースがあります。一方、欧米の高級家具では、前板と同じ素材(ウォルナットやチークなど)で引き出しを作ることもあります。

良いタンスを見分けるポイント

  • 材質 国産桐 > 中国桐 > ファルカタ > MDF
  • 板の厚み 厚い>薄い
  • 接合技術 蟻組・ほぞ組 > 包み継ぎ > ダボ継ぎ
  • 補助金具 不要(スムーズな木組み) > スライドレール
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